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春望 三月一五日 「パンを焼くこと」

朝5時に起床。実家にいた時は二度寝していたけど今日はパン生地が待っている。

厨房にいき生地を確認する。よかった。いい発酵具合だ。予定よりも少し時間がかかっているけどこのまま何もなければいいパンが焼けそうだ。

全ての生地を成形する。生地と対話しながら一つ一つ。ここには何というか想いしかないのだけれど、それを込めて。

成形を終えた。次は窯に火を灯す。ここから一気に加速する。

部屋の温度も勢いよく上がる。始めた時は10°だったけれども窯を温め始めて50分で10°上昇した。これが北極だったら氷は全て溶けている。自然の力はそれほどまでにエネルギーに満ちている。人間がエネルギーを作らなくても。

1時間30分ほど窯に火を灯すとパン生地を窯に入れる合図がやってきた。ドリアンの田村さんに教えてもらった薪のくべかたにしたら燃費もいいし温度とすぐに上がる。感謝。

窯入れの時。1番緊張する瞬間だ。まして久々の窯入れ。ここで失敗すると全てが水の泡になる。パン生地を最後焼き上げる、目に見えない微生物たちが生命を全うしてもらうために。

今日も祈りを込めてクープを切った。この工程は祈りの時間とした。とても尊い行為だ。

フランスでは窯を女性の子宮に例える。そこから最後出てくるパンたちが人々の生命の糧となっている。窯でパンを焼くことはとても神聖な行為なのだ。それだけにパン職人たちは一つ一つの作業をミスなく最後パンを焼き上げることが唯一のミッションだ。

バタバタしたが窯入れが終わり窯出しまでの時間いろいろ整理や配達の準備に追われる。

20分後、窯の中の様子を見る。よかった。しっかりと膨らみ、焼き色もほのかについている。このままいけばいい状態でパンを窯からだせる。ホッと一息ついた。

その後問題なく2窯目でブリオッシュも焼くことができた。どうやらガメルというパーツに蒸気用の水入れておくと2窯目だと温度が下がるので水の蒸発が遅く焼き色がつきづらいようだ。

なるほどそれでグラの蓋があるのか。蒸気がある程度窯内に広がったらガメルを出してあげて蓋する。

すると焼き色がつき始めた。

これは1窯目でも応用できそうだ。

ミスなく焼き上げることができた。

あとは必要な人に送ったり届けるだけだ。ここからはパン職人から商売人に変わらないといけない。なかなか難しいけど、消費で完結する食料の担い手である限り避けられない。

ひたすらに寝ててもパンが焼けるぐらいにパンを焼こう。そうした先に何があるかわからないけど、焼こう。

淡路島の大和さんにはいつも感謝しかない。

ありがとう。

淡路島の帰り道。丹波の実家にパンを配達して帰路に着いた。

パンは全て誰かの元に届いた。

少しだけ緊張から解放され布団に入った。